ちょっと前ですが伊丹市立美術館の「ルート・ブリュック 蝶の軌跡」展に行ってきました。
楽しみにしていたルート・ブリュック。
フィンランドを代表するセラミック・アーティストの日本初個展とあって、ファンは心待ちにしていたのでは?
この少し前に「フィンランド陶芸」展でもルート・ブリュックを観て気分は幾分上がっていたのでなおさらです。
ルート・ブリュックはフィンランドの名窯アラビアで50年もの長い間活躍してきた女性アーティストです。
女性ならではのやわらかい感性、北欧フィンランドを感じるような透明感、釉薬の繊細な色の組み合わせは、可愛いだけじゃなくて作品の奥になにか物悲しいような寂しさも感じられて惹きつけられます。
わたしは特に陶版が好きで、その作品がストーリーのなかの一部のように感じられて想像力をかきたてます。
一つの作品に広がりを感じる、そんなところが魅力的なんですよね。
いつまでも観ていて飽きない作品の連続でした。
「都市」1958年
こちらは入り口に展示していた作品。
小さな微妙に違う色のパーツを組み合わせて、どこを切り取っても表情が違います。
となり同士の色が響き合って場所場所で違った表情をつくっているのがなんとも楽しい!
特にブルーの場所が好き。
==== 写真をたくさん撮ってしまいました。
撮影OKの場所とNGの場所がありました。
まだまだ気に入った作品をご紹介しますね。
聖体祭 1953年
ヴェネチアの宮殿:ジョルノ 1953年
ヴェネチアの宮殿:鳥の扉 1953年
トウヒとフクロウ 1952年
梨籠 1950年
魚の皿 1953ー1954年
お葬式 1947年頃
カレリアの鐘楼(アダムとイヴ) 1952年頃
ブリュックが建物をモティーフとした作品は1950年代の初めごろから。母の故郷ガレリア地方の伝統的な木造建築やイタリアで見た建造物が着想限。それまでは陶版で表現していたのが、この頃から建物の形をかたどった作品が増えてきた。
カレリアの家 1952ー1953年
ボトル 1957年
ふたつの陶版を繋げた構成。古色を帯びた風合いは引っ掻いた表面に黒っぽく発色する参加金属を刷り込み、船に残るように施釉しているため。右のひょうたん型のデカンタはカイ・フランクがデザインした“クレムリンベル”。
果物の皿 1950年代
線や色彩を強調して感緑化したキュビスムの影響が見られる。家庭的な作品が多いが、この時期にブリュックの結婚生活が始まった。食卓や台所などの身近で温かなモティーフが増えて行く。果物に釉薬が厚く施され水々しい。
三つ編みの少女(ルート) 1948年
ビルゲル 1949年
静物 1947ー1948年
静物(スズランと梨) 1948年
静物(矢車草とカリフラワー) 1948年頃
鳥籠 1947年
コーヒータイム 1947年
ブリュックは額装された絵画のような陶版へと作品が変わってきた。アラビア製陶所の美術部門でともにアトリエにいたビルゲル・カイピアイネンにも同様の形状が多い。女性の社交場。戦時中、コーヒーを楽しむ時間が貴重だった様子。
ライオンに化けたロバ 1957年
ノアの方舟 1957年
無題 1944年
雄鶏の皿 1940年代初期
ちょっとタイトル見落としたのもありますが、なんと魅力的な作品でしょう。
見るたびにまた違った感情が湧いてきそうですね。
女性らしい瑞々しい感性や少し陰りのあるところも魅力的。
それぞれの作品から絵本が作れそうな気もします。
柔らかい色彩も温かい質感も素敵な美術展でした。
「ルート・ブリュック 蝶の軌跡」
2019年9月7日(土)〜10月20日(日)
伊丹市立美術館