少し前ですが熊谷守一展へ行ってきました。
わたしはわたし。
ほんとそう。
最近よく思うこと。
熊谷守一は1880年(明治13年)に岐阜県に生まれた画家です。
今年は生誕140周年の年。
知っているイメージでは単純な線で計算された構図「モリカズ様式」が印象的な作風ですが、若いころからお波乱万丈の人生と画風の変遷をたどる美術展でした。
映画「モリのいる場所」のイメージが強かったので一人で自然や虫に向き合う孤高の画家かと思いきや、社交的で友人が多い愛された人物だったようです。
でもタイトルの「わたしはわたし」のとおり描きたくなるまで筆を握らず、まわりの流行りの描き方に左右されず、自分をつらぬく強さはまさに孤高の画家でした。
97年という長い生涯。
5人の子供のうち3人の子供の死を経験しなければならなかった守一。
その悲しい経験も絵に残されていました。
晩年になるほど余分な線は削ぎ落とされ、「モリカズ様式」と言われる画風にたどり着きましたが、ここに至るまでになんどもモチーフを描き計算し追及しながら辿り着いたかたちなのですよね。
決して単純ではない単純な絵に、守一の人生の一端を知ることでさらに心惹かれました。
そういえばキャプションには絵を見たときにうまさを感じさせてはいけないというようなことを言っていたようです。
うまさのさらに上を行くときに辿り着く境地なのかもしれません。
わたしはわたし。
なかなか言えない言葉かもしれないけど。
人と同じじゃなくてもいいんじゃない?
最近ほんとにそう思います。
同じような人が多い中、余分なものを捨てて行くと、ほかの誰でもないオリジナルになるかもしれませんね。
歳をとるほど余分な線が削がれていくなんて歳をとるのも悪くない。
熊谷守一展
伊丹市立美術館
7/31(木)まで。