少し前ですがあべのハルカス美術館「ラファエル前派の軌跡展」へ行ってきました。
19世紀のイギリス、美術批評家ジョン・ラスキンをめぐるロセッティ、ミレイ、ウィリアム・モリスの絵画だけでなく家具やステンドグラス、タペストリなど。
ラファエル前派の誕生からその流れをたどる美術展です。
その中から撮影可のものをいくつか覚書として。
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ
ムネーモシューネー(記憶の女神)
1876-81年
ムネーモシューネーはギリシャ神話に出てくる記憶の女神。パンジーは記憶の暗示で、右手に持っているのは飲むと過去の記憶を完全に思い出せる水が入っている。
額の縁には画家の手で「ああ、記憶の女神よ、汝は翼生える魂の盃から油を灯に満たし、炎の翼でゴールを目指す」と詩が刻まれている。
こちらは当初「アスタルテ・シリアカ」の習作でした。
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ
シビュラ・パルミフェラ
1865-70年
肉体的な美に対して精神的、超越的な美の象徴として描かれた女性像。古代の預言者であり右手には勝利のシュロをもち、頭にはオリーブの輪をつけて大理石の玉座に座っている。壁には多頭の蛇とスフィンクス。左のバラと目隠しをしたクピドは愛、右のケシと骸骨は死を暗示して、魂の象徴である蝶がその間を舞っている。
モチーフの意味を考えると興味深い。
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ
クリスマス・キャロル
1867年
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ
《水辺の柳》のための習作
1871年
モデルはモリスの妻ジェインで、モリスとロセッティが共同で借りていたケルムスコット・マナーで製作。モリスがアイスランドへ旅行に行っていた時に描かれた。パンジーの花言葉は誠実と追憶。完成された作品は悲しみの象徴の柳に替えられた。
ジョン・エヴァレット・ミレイ
滝
1853年
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ
夜が明けて
ーファウストの宝石を見つけるグレートヒェン
1868年
ウィリアム・ホルマン・ハント
シャロットの乙女
1887ー92年ごろ
今回の美術展は絵画よりも人間関係の方が興味深かったです。
出品リストの作品リストよりも、その裏にイラスト付きの人間相関図がおもしろすぎ。
いつかドラマにしてほしいくらいの師弟関係、友人関係と恋愛関係が絡まり縺れた相関図。
いつの世も人間関係って難しいですね。